Published by ICSEB at 2023年11月17日
現在、脳神経外科分野では、アーノルド・キアリ症候群の診断について議論がなされています。小脳扁桃は、小脳の下部にある解剖学的構造で、大後頭孔の境界内の頭蓋骨内にあります。小脳扁桃の下垂が 3mm、5mmmまたは7mmを超え(研究者によって異なる)、脊髄に他の奇形が見られない場合にアーノルド・キアリ症候群I型と診断されます。
2018年から2020年の時点で、一部の著者はアーノルド・キアリ症候群の分類に、0型、1、5型、そしてV型といった新しい分類を追加しています。小脳扁桃のわずかな下垂でもアーノルド・キアリ症候群の症状を引き起こす可能性があるとする考えが減少傾向にある中、現在最も疑問が生じているのは、アーノルド・キアリ0型症候群の診断です。
最近の文献で、ある著者はアーノルド・キアリ症候群0型は脊髄空洞症がない患者、または小脳扁桃下垂が最小限で、後頭部痛、後頸部痛、脊髄小脳の機能不全などのキアリ奇形I型の典型的な症状や徴候を伴う患者を表現するために使用されると報告していますが、それに異議を唱える研究者もいます。
ロヨ医師率いる医療チームは、終糸病患者において、キアリ奇形に関連する症状の重症度が小脳扁桃の下垂の大きさと直接関係していない例が複数あることを観察しており、小脳扁桃の明らかな下垂がない患者においても、アーノルド・キアリI型症候群と同様の臨床像が存在していることを確認しています。実際、小脳扁桃下垂の原因となる終糸病に関する研究の観点から、MRI画像上
における終糸病の表現である可能性のある状態には次のようなものがあります。
「McRae線で表される大後頭孔より下の小脳扁桃の一方または両方の下垂…また、小脳扁桃のMcRae線との接触または密接さを初期の小脳扁桃下垂とみなし、小脳扁桃の嵌入と定義します。これは、他の著者がキアリ奇形0型と呼ぶ状態と同等のものです。」
小脳扁桃の嵌入がわかった患者さんにとって、大後頭孔への小脳扁桃の下垂が3mmを超えない場合でも、MRI画像において確認可能であり、アーノルド・キアリI型症候群患者と同様に、生活の質に影響を与える症状が見られる可能性があることを知っておくことは非常に重要です。
当研究所では、アーノルド・キアリ 0 型患者にも有効な治療法である独自の治療計画、終糸システム® を提供しており、優れた成果が得られています。これは、緊張状態にある終糸による牽引が小脳扁桃にはほとんど影響を与えていなくても、多くの症状を引き起こす可能性があることを示しています。低侵襲治療の終糸切断手術によって症状の改善または消失につながり、患者さんの生活の質を取り戻すことができています。
バルセロナキアリ奇形&脊髄空洞症&脊柱側弯症研究所は、個人情報の取り扱いをEU一般データ保護規則(規則2016/679)に従って行っています。
当サイトのコンテンツは、バルセロナキアリ奇形&脊髄空洞症&脊柱側弯症研究所サイトをご覧になっている方の参考のために、スペイン語コンテンツを非公式に和訳したものです。